ひじょーーーに悲しいニュースが流れてきて、TLやトレンドが荒れているので
それとは逆に、私が「この脚本すごいな」と思ったやつの話をしようかと思います。
もやしもんアニメ(無印) 4話 「あちこち菌祭り」
この回は原作10、11、7話を再構成したものになっている。
主な変更点は下記である
- 原作11話は序盤のみ(野菜泥バレと腹痛)で後半はカット、7話にシームレスに移行する
- 原作7話の1ページ目はアニメ3話の一部で使用されたためカット
カットもされているし、順番も変えているわけなので、巷で言われる”原作改変”を軽微に行っているという形なのだが、私はこの原作改変をいたく納得しているというか当時アニメ→漫画の順で見て感動すら覚えた。
4話の変更による影響
- 原作では6話で及川初登場→7話オリエンテーション
- オリエンテーションで女子の及川が沢木たちと一緒に行動するのが少し違和感。入学直後に顔見知った人と行動するのは変じゃないが、女子同士で行動しそうな感じ。まあ、以降も同級生女子登場しないんだが
- 原作7話が後ろにずれたことで、沢木・蛍・及川のセット感が出るので違和感は減る
- アニメの4話の〆として使われる
- カットされた原作11話後半
1はまあ狙ってはいないだろうと思うが、2と3はいわゆる映像化に伴う原作の再構築なわけであり、意図的に行われていると推測される。
尺の都合によるツギハギの結果ではないでしょう。
細やかな改変
沢木が牛のケツに手を突っ込んでるシーンで「あいつ昨日つかまった」というセリフが追加されている
カレーを取ってきた沢木を見た及川「腹痛なのに…」のセリフが追加
及川がサラダを見せ「美味しそうでしょ」のセリフ追加
→ 原作の流れでも十分なのだが、沢木がサラダを見る動機付けがされている
O-157「かもして 〇ろすぞ」はカット 仕方ないね
蛍の「カレーまだ食べてなかったよね」を追加
大麻の扱いづらいネタの削除
エジプト奴隷カット(私は好きなシーンなのですが)
などなど、細かいセリフ修正であったり、は他にもある。
メディアの違いを意識した改変を行っているわけだが、
ただ改変するだけでなく、ちゃんと再構成されているゆえの変更が見られるんですよね。
こういうのがいわゆる原作へのリスペクトだったり、原作あり作品に対しての脚本という行為だということを私は感じました。
ある種原作付きの映像化は原作の真似とも言えるわけですが、真似のその先にオリジナリティが生まれると言われるその形を見たように感じました。
是非原作とアニメ見比べて「違い」を味わってほしいと思います。
終わりに
話題の作品の映像化では原作キャラ性格の改変や作者として重要なストーリーの改変があるそうですが、それは必要な改変なのか、原作を汲み取ったうえでより作品の質を上げるための改変なのか、クリエイターである以上は商業的理由とそこを両立するのが仕事であろうと私は考えます。(脚本家だけでなく、制作スタッフ、プロデューサーなんかもクリエイターの一部であるとも考えます)その映像化に向けた変更が成功するかどうかは置いといてね。
映像化を意識した改変は必要ですから、視聴者も安易に「原作改変!」と怒るのはやめましょう。純粋につまらないことや劣化していることに対して怒るのは良いですが、変わっていること、挑戦…かもしれないことを叩くのは余計につまらない作品が増えるだけかもしれません。
終わりの終わりに
この、もやしもんアニメの話は一度どこかで吐き出しておきたかったことなので、機会としては最悪でしたが、話せて良かったです。
同原作者の「純潔のマリア」これのアニメも割と良いんですよね。低予算アニメだったと思うんですがその中できっちり作ってて、そっちも感心した覚えがあります。
SEEDの映画を見てきたんですが、こいつも脚本の面白さが出ていたお話なので近々更新したい。
終わり