わごむのびのび

ゲームとかアニメとかの感想とか

428 〜封鎖された渋谷で〜

本日のレビューはこのゲーム。

10年ぐらい前にプレイして私が衝撃を受けたゲーム。

当時、ひぐらしとか逆裁とかの文章主体のノベルゲームにハマり出した頃、
Wiiのレビューサイトで1位&大絶賛だったこのゲームをプレイしました。
バッドルートに行けばゲラゲラ笑い、1時間区切りで先が気になる展開に
まぶたをこすりながら夜な夜なプレイしていたのを覚えてます。

すごく楽しかったので個人的なゲームランキング1位に君臨し続けてました。
今でも自分の中のTOPのゲームなのかなーと思い、最近再プレイした感想になります。

は?やっぱこれ神ゲーだわ

単純なサウンドノベルとして見ると実はそこまでクオリティが高くなかったりする今作。

「24を目指して作った」というプロデューサーか誰かの制作のコメント通り、
1時間区切りで数人の話が絡み合いつつ進むお話はまさに24という感じ。
(私はレガシー以外の24は全部見てます)
でも24の規模や派手さや裏切りなどの衝撃を受ける展開の数々と比較すると
劣っているのは間違いないかな、と思います。

じゃあ何が優れているのかと言えば諸々あるとは思うんですが、
キャラクターごとの温度差の活用かと思います。

  • 生真面目で愚直な若造
  • ちょっと頭の弱い熱血漢
  • 人と接することを拒絶する大人
  • トリッキーでクセのある大人
  • タマ

各キャラクターごとに文章の空気感が全然異なるんですよね。

・亜智編で緊迫の逃亡を続けながらも、ひとみと徐々に仲を深めるのを微笑ましく眺めていたかと思ったら、
・大沢編では昼ドラサスペンス的な空気感や梶原のシュールな光景を見たり、
・ダイエット食品の即売会に奔走する着ぐるみ
温度差がすごい!!!!!!
風邪ひくわ!!!!!!!!

重厚な物語が見たい人とかはもちろん「うるせえ!!水さすな!!」
と言いそうなので人は選ぶんだけど、
私は大好物です。
一辺倒な物語はよっぽどの書き手の実力がない限りはダレるんです。
メリハリをつけるとしても、そのメリハリの付け方に飽きるんです。
(あーはいはいそろそろ、CTU爆破のお時間でーすみたいな)

428では文章の空気感からまるで別物になるので、嫌でもメリハリがつきつつ、 キャラクターの個性が入ってくるように出来上がってる。 システム的にもJUMPなどの要素で各キャラの物語は行ったり来たりするので、 もう、メリハリがすごいすごい。 挙句の果てはタマルートはギャグ一辺倒で、他ルートのむさ苦しさや暗い空気を ひっくり返す息抜きルートと見せかけての→「マリアでしたー!」で驚かされて。 (トリ頭の自分でも流石に2週目でも覚えてた) 退屈させない物語に終始ワクワクしていました。

大量の写真で表現されるビジュアル面は一番特徴があるのは大沢編だろう。 シュールと異質さの表現は文章だけでは難しかっただろう。 その辺の表現は映像に任せて、キャラの内面や会話に集中できるのは サウンドノベルゲームのうま味だと思う。 自分はキャラの内面に触れてこそ、キャラに感情移入できる人間なので、 そこが主になる化物語などが好きな傾向がある。 本作も内面の表現と会話劇に楽しめた。

  • キャラクターの心情が描写されると応援したい気分が強まるのかな。 自分は決して「キャラと自分を重ね合わせる」なんてことはしない人間だけど 「感情移入」はする。このキャラは幸せになってほしいなあとか思う。 行動を主体に見せられる作品は、眺めるものにしかなれないからイマイチに感じるのかも。 結果ありきのフローチャート通りの動きはなんかなあという感

ここ好きポイント

ちゃんとゲームしてる

  • 分岐で各種BAD ENDは普通にBADなものやギャグルートなど結構やりたい放題
  • 分岐をある程度つながりを考えて進む必要があり、謎解きのような感じ。でも基本ヒントが優しいので詰まるほどの感じではない。
  • ラスト2時間は分岐のヒントなしで難易度UP、かつBAD END連発や多数の分岐で、クリアまで試行錯誤は必至。そこを潜り抜けてクリアした時の達成感はまさにゲームクリア。

まっすぐなキャラクター

  • 加納:加納の愚直さが年取った二人に刺さるの良い。建野への敬礼とかうるっときてしまったし、静夫へ語った自分の刑事として、いや自分の人間としての行動原理を語る部分。「したいからやるんだ」ってのは大事だと思うんだ私は。
  • 亜智:「なんだこのまっすぐな青年?!」あほだけど愛らしい人間性。考えるより先に体が動く、自分の大切なもののために。ありえないようなキャラだけど話の中核をなすもう一人の主人公。
  • 御法川:年相応に擦れているんだけど子供のような一面を見せる。ドライアイスが伏線になるなんて思わないやん?
  • 大沢:当時は「何かよく知らんアーティストをイチイチ押してきてウザい」「陰鬱なだけでつまらない唯一のルート」という印象だったんですけど、改めて見ると面白い。他のキャラは人と人のつながりが結構ありながらなんだけど、大沢は孤独からの梶原とつながりを作っていく感じとか。スルメルートですね。
  • タマリア:1週目時点でもマリアが捕まっていない?みたいな描写がちょろちょろ出てきた辺りで察してきてはいたり、2週目はもちろん知ってたんですけど、それでも正体がハッキリするところはワクワクしちゃいますね。「話が動き出しそうだ…!」って感じが興奮する。1週目ではお腹痛くなるぐらい笑った記憶があるんですが、2週目はクスクス笑うぐらいで「あれ?こんなもんだっけ」って感じでした。割と丁寧な口調のセリフと反対にちょっと毒気のあるモノローグが面白いんだこれが。

不満点も一応あるよ

  • JUMPは悪くないけどなんかなー。そのままJUMPすると今読んでるルートの続きは読めずに中途半端に止まっちゃうし、一度読んでからそこまで戻って飛ぶのもぼちぼちめんどくさかった。場面転換などの意味合いからのKEEP OUT自体は嫌いじゃないんだけどもう一歩。
  • まあ…主にカナン、アルファルド辺りですかね…。「トラブルも計画のうち」とか…。しつこく言う割に「あー、うん、で?」って感じがすごい。本編中のカナンの立ち位置は、おかしいことはないと思うんだけど、アルファルドの設定周りはきのこの設定をもってきた結果…になったのかなあ、という印象。変に大物感を出そうとした結果が…。中東のテロ組織とか、マリアと仲良くなってとか、カナンを騙って、とかは大筋で決まってたんだろうけど、色付けがなんだかなあ。
  • カナンルート:まあ、異色は前提のルートだと思うし話の特性の部分に関しては触れないですが、らっきょ読んだときもそうだったけど、冗長なだけでつまらない文章が多いから眠いんだきのこの文章は。私には合わないです。(UBWのアニメですごくFateハマったので、そも嫌いなわけじゃないとは思う。)

総評

笑いあり、涙あり、ドキドキあり。色んな表情を見せる「428」は何度やっても楽しめる。 自分は飽きっぽいのもあって合うんだろうな、と思う。 色んな感情に心を動かされるのは良いもんだ。 なかなかシリアスな展開を抜けての最終的なオチがあれでクリアなのとか(煙の車が突っ込んできて…じゃねえよw)、もう笑うしかないよねw最後に最高に笑った。

ちょっと自分の中のランキングとしては点数が落ちたところもあるけど、少なくとも四天王以上の立ち位置から外れることはそうそうなさそうだな、という感じ。やはり超名作でした!  
   
 


ご時世がらあれですが、ゲーム日和ともいえなくもない。グラブルも落ち着いたし。
月一更新は間に合わなかった。